高血圧予防の基礎知識

  ❈高血圧の予防が必要な理由

  それは言うまでもなく脳・心臓・腎臓などの重要な臓器の障害、心血管病発症を抑えるためである。患者の遺伝素因と生活環境の影響の2個の因子によって、

  高血圧は発症するとされている。遺伝素因を変えることは困難なので、環境因子を変えるべく、生活習慣修正を行う。

  その内容は 1、食塩制限6g/日未満 2、野菜・果物の積極的摂取、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える、魚(魚油)の積極的摂取 

  3、適正体重の維持:BMI25未満、4、運動療法:心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上)運動を行う 

  5、アルコール制限:エタノールで男性20〜30㎖/日以下、女性10〜20㎖/日以下 6、禁煙

  ❈減塩・・・我が国の高血圧学会のガイドラインでは、減塩目標は6g/日未満だが、理想の目標は3g/日では血圧は緩やかに下がり、それ以下なら著明に下降している。

  一方厚労省の減塩目標値は10g(男性)、8g(女性)であったが達成率は男女とも約1/3であった。我が国の減塩目標値は2つあるという分かりにくい状況である。

  減塩1g/日による降圧は収縮期血圧で平均1mmHgであるとされる。個人差あるが、減塩は長期的視野に立って少しずつ食塩摂取量を減らすというのが現実的である。

  我が国の塩分表示は食塩ではなくナトリウム表示でなされている。減塩指導は食塩何gで行れているので、食塩でg表示でなければ使いにくい。食塩は重量比で  

  ナトリウムの2.5倍であるので食塩=ナトリウム x 2.5である。本態性高血圧患者の中には、食塩過剰摂取で血圧が上がりやすい食塩感受性患者と上がりにくい

  食塩非感受性患者がいることが知られているが、食塩過剰摂取はどの患者でも有害なのです。加齢とともに血圧が上がるということはよく知られているが、しかし、

  食塩摂取量の非常に少ない社会では、加齢に伴う血圧上昇は認められない。また、生後6か月間における減塩は15年後の血圧を下げるとも言われる。

  食塩摂取量の測定には種々あるが、その正確さと簡便さは相反しており、目的に応じた使い分けが必要になる。一般医療施設で採用されているは

  尿のナトリウム、クレアチ二ン測定とナトリウム,/クレアチニン比による推定。食塩1gは17mFqに当たるので、得られた値を17で割ればクレアチニン1g当り(大体1日量)

  の食塩摂取量が得られる。食塩摂取量は毎日変動しているので、これを何日か測定し、その平均値をとる。 その他の生活習慣

  ❈肥満・・・肥満(特に腹部肥満)は高血圧だけでなく、脂質代謝異常、糖代謝異常なおの生活習慣病の病因ともなる。これらメタボリック・シンドロームは重大な

  心血管リスクとして認識されている。日本人を初めとするアジア人は軽度の肥満でもメタボを呈し易いとされている。さらに、メタボは血圧の食塩感受性が亢進している

  ので減塩の降圧も大きい、いいかえれば、肥満者の減量は、食塩過剰摂取の弊害を取り除けることが指摘された。

  ❈飲酒・・・飲酒も血圧上昇の原因となる。飲酒直後では血圧はむしろ下がるが、長期的には高血圧を生じ得る。軽度の飲酒はむしろ心血管予後には良いと

  されてきたが、最近の検討では、必ずしもリスクを低くするとは言えないという報告もある。

  ❈喫煙・・・喫煙は、その直後には血圧は上昇するが、長期的には血圧は上がらないとされている。(但し、腎血管性高血圧のリスクであることはよく知られている)

  喫煙者では喫煙習慣のある日中は血圧が高く、夜間睡眠時は低いタイプの高血圧を呈する。

  ❈ストレス・・・ストレスと高血圧の関係を検討した研究は矛盾する報告が多いが、最近ではストレス管理(リラックスやバイオフィードバック)の有用性を指摘している。

  ❈寒冷・・・夏場に血圧が低めになり、冬場に高くなるということはよく知られている。寒冷と心血管リスクについての検討では、外気温よりも防寒や暖房が心血管

  リスク防止の決め手となり、必ずしも寒冷地で心血管リスクが高いとは言えないとされている。